論理の匠 vol.4
~大阪桐蔭中学・高等学校 中條宏先生~
国語を学ぶ喜びと、驚異的な成績を同時に引き出す、
日本語のプロフェッショナル
- 前編「中條流 OS・上級編併用術」-
大阪府大東市。JR住道駅から線路沿いにしばらく歩くと、まるで大学かと見まがうばかりの、白亜色をした立派な校舎がそびえ立っているのが目に入ります。
大阪桐蔭中学・高等学校。森山信一校長先生の優れた運営手腕と、充実した指導スタッフ陣により、文武両道でありながら、毎年合格実績を驚異的に伸ばしている関西屈指の名門校です。今年も46名の卒業生を京都大学に送り込んだと、その実績がマスコミを賑わせました。

その国語科では、従来PSと上級編のみを採用していたのですが、今年度から中学でOSを採用し、わずか採用一年目にして、駿台模試で学年偏差値・平均6.8ポイント上昇という画期的な成績をあげたという評判を取材陣は聞きつけました。
その中心となった先生の名は、中條宏先生。実は出口汪の大学院の研究室の同輩です。
校長先生をはじめとした学校全体の積極的な取り組みと、国文学に造詣の深い中條先生ならではの力の引き出し方が相まった絶妙なコラボレーションは、従来の取材とはまた異なる初めて聞くアプローチばかりで、大変新鮮なインタビューとなりました。
中條流読解術
―― 中條先生が「論理エンジン」を指導されるにあたって、心がけていることを教えて ください。

中條 まず、テキスト自体を与えるときに、「論理エンジン」は高価ですから、教員がその良さをしっかり伝えられれば、生徒にとってはそのテキスト1冊、そしてセット全体がものすごい宝に見えるわけですよ。
さらに、ステップそれぞれ、そしてさらに細かい問題それぞれに、一つ一つ意味がありますよね。並んでいる問題の順番・配列の工夫、膨れ上がってまた縮んでという風に、そういう文章量の面白さもあります。また選ばれた文章の内容、素材それ自体の面白さもある。それらをちゃんと伝えてやることです。
―― ありがとうございます。具体的にはどのように指導されていくのですか。
中條 出口さんが使っている言葉とは少し異なるかもしれませんが、私の方法論で行くと、
①最初に素材をしっかり意識させる。
②それからその素材を使って、具体例が来ることに着目させる。
③具体が来たら、必ずその後に抽象が来るので、その抽象を見つけさせる。
④ここで終わってしまうと、普通の評論文では深みがなくなるので、もう一度具体例に近い、象徴的な例が出てくることが多い。そして、
⑤その象徴例があったあとに主題が来る、あるいは主題が深まる。
と、いう手順で教えるわけです。
―― なるほど。
中條 問題文章的には、そういうパターンで来やすいということですね。
たしか、出口さんは具体のことを“展開”という言葉で表現していたと思います。どういう言葉を与えても良いのですが、それにどういう意味があるかを上手に意識させることですね。そういう風に「論理エンジン」を使っていきます。
この一冊をやる意味は、生徒にすぐには伝わらないですよ。それを理解するには大きなところからの視点が必要ですからね。だけど使っていくうちに、「自分たちはこの力を鍛えているんだ」ということが、やっぱり分かっていきますね。
